ロープロファイル × 分割キーボード6選を徹底比較

ロープロファイル × 分割を選ぶ理由

通常のキーボードをデスクに置くと、高さと傾斜のせいで手首が背屈し、肩も自然と内側に入りがちです。分割キーボードは左右を肩幅に広げられるため姿勢改善に有効ですが、筐体が分厚いとデスクからの高さがかさんで手首への角度が残ります。そこでロープロファイルスイッチ(薄型スイッチ)を採用した分割キーボードは、両方の欠点を同時に解消できるとして近年注目されています。

今回は KeyLab DB に掲載されている6モデルを、スペックと実際の使い勝手の観点で比較します。スペック表の数値はすべて KeyLab DB の登録値をそのまま使用しています(未登録の項目は「—」)。なお、6機種はすべてホットスワップ対応のため比較表では省略しています。

スペック一覧

モデルキー数接続スイッチ互換バッテリーRGB重量備考
NocFree &105USB-C + Bluetooth + 2.4GHz2850 mAhあり入手難易度: 普通
Elytra63USB-C + BluetoothKailhなし0.42 kg入手難易度: 難、深さ 101.25 mm・高さ 11.8 mm
Jiffy7575USB-C + Bluetooth + 2.4GHzKailth Choc V22800 mAhなし0.87 kg幅 332.5 mm・奥行 127.7 mm
Cornix LP48USB-C + BluetoothKailh choc V21300 mAhなし0.56 kg幅 280 mm・奥行 95 mm・高さ 25 mm、ケース 6063 アルミ・プレート FR4
Iris LMUSB-Cコネクタタイプ: Kailh Choc V2/スイッチプロファイル: Kailh Choc V1 & Kailh Choc V2 (with Iris LM-K PCB), or Gateron LP KS-33 (with Iris LM-G PCB)あり片手あたり幅 146 mm・奥行 123 mm・高さ 19.6 mm、ケース材質 Black Aluminum
VORTEX M50(番外)55BluetoothKailh Choc v2/Gateron LP 3.02000 mAhなし

NocFree & Split keyboard

このラインナップの中で、もっとも「完成品」として洗練されていると感じるのが NocFree & です。テンキーを合わせた DB 登録値は 105 キーですが、キーボード単体では 84 キーという構成で、一般的な 75% に近い配列が続きます。Del キーも独立して存在するため、従来のキーボードから乗り換えやすいのは大きな強みです。

接続は Bluetooth / 2.4GHz / USB-C のトライモード。同一デザインのテンキーをワイヤレスで追加できる拡張性があり、別売りのテンティングスタンドは 置くだけで充電も行えるという細部の作り込みも印象的です。見た目のまとまりにも気を使っており、デスクに出しっぱなしにしても様になります。

気になる点は価格の高さですが、その分だけ ANSI・ISO・JIS と複数レイアウトに対応し、スイッチも静音(Mist)と通常(Rime)から選べるなど、購入段階からカスタムの幅が確保されています。キーマップ変更はメーカー独自ソフト(NocFree Link) に限られるため、QMK や VIA を使いたいユーザーには制限を感じるかもしれません。

75% 系の分割ロープロ全体で見ると、価格さえ許容できれば現時点でいちばん整ったパッケージです。

分割キーボードホットスワップ対応USB_C_Bluetooth_24GHzLowProfile
キー数: 105
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Elytra: Ultralight Wireless Split Keyboard

軽さへの執念が随所に感じられる一台です。筐体の背面を網状に削り出した構造は見た目にも個性的で、ただの「薄型」以上に軽量化を突き詰めた設計思想を表しています。DB 登録値は 0.42 kg・高さ 11.8 mm と、このラインナップの中でもダントツの軽さと薄さです。

ファームウェアは Vial 対応で、キーマップのカスタマイズ性は高めです。接続は USB-C + Bluetooth の2モードで、2.4GHz ドングルには対応しません。RGB もなく、全体的にシンプルで軽量化優先の割り切った仕様です。

一方、底打ち感については気になるというレポートもあります。ロープロファイルスイッチはストロークが短い分だけ底打ち時の衝撃が直接伝わりやすく、Elytra のような軽量設計では特にその傾向が出やすいとされています。毎日数時間以上タイプするような用途では、スイッチ選択やルブで対策することも念頭に置いておくとよいでしょう。

「持ち歩ける分割キーボード」を真剣に探しているなら最有力候補の一つですが、入手難易度が DB 上**「難」**のため、再販・代理店タイミングをチェックする必要があります。

分割キーボードホットスワップ対応USB-C + BluetoothLowProfile
キー数: 63
重量: 0.42kg
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Jiffy75

後述する Cornix LP と同じ製造元(JezailFunder) が手がける 75% 分割です。両者を比較しながら選べるのは嬉しいところです。

配列は「75% 分割」と書くと標準的に聞こえますが、左右それぞれの外側にキーが追加された独特の配置になっており、最初は少し戸惑うかもしれません。慣れると利便性が高まる部分でもありますが、標準 75% と同じ感覚で使えると思って購入すると違和感を覚える可能性があります。キーマップは独自ファームウェアに加え VIA にも対応しており、柔軟なカスタマイズが可能です。

ロータリーエンコーダー搭載は 75% クラスの分割ロープロとしては珍しいポイントで、音量調整やスクロールなど、普段使いの利便性が上がります。さらに木製パームレストが用意されているのも特徴的で、見た目のあたたかみと使い心地の両方に貢献します。接続は Bluetooth / 2.4GHz / USB-C のトライモードで、バッテリーは 2800 mAh と大容量です。

価格帯を含めてコストパフォーマンスを重視しつつ、エンコーダーやパームレストなどの装備も欲しいという人にはよく整った選択肢です。

JezailFunder

Jiffy75 keyboard image
分割キーボードホットスワップ対応USB_C_Bluetooth_24GHzLowProfile
キー数: 75
重量: 0.87kg
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Cornix LP

Jiffy75 と同じ JezailFunder 製で、こちらはコンパクト寄りの設計です。DB では 48 キーで、今回のラインナップの中では最少キー数になります。配置のイメージは 40% に近いコンパクトさで、レイヤーを活用した運用が前提です。

注目点はテンティングスタンドが付属していること。他のモデルは別売りか非対応ですが、Cornix LP は最初から角度調整できる状態で届きます。デスクの高さや姿勢に合わせて傾きをつけたい場合、追加費用なく試せるのは素直に助かります。

ロータリーエンコーダーも搭載されており、コンパクトな見た目に反してできることは多め。素材は 6063 アルミケース + FR4 プレートと明記されており、打鍵感の方向性をある程度イメージしやすいのも特徴です。バッテリーは 1300 mAh と控えめなので、使用頻度が高い場合はこまめな充電を意識するとよいでしょう。

JezailFunder

Cornix LP keyboard image
分割キーボードホットスワップ対応USB-C + BluetoothLowProfile
キー数: 48
重量: 0.56kg
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Iris LM

このラインナップで唯一の有線専用モデルです。他の5台が Bluetooth を持つのに対し、Iris LM は USB-C 有線接続のみ。線が増える不便さはある一方で、「無線接続が不要」「バッテリー管理を省きたい」「有線の安定性を優先したい」という用途では逆に強みになります。

キーマップは QMK/VIA に対応。分割キーボード界では屈指のカスタム自由度で、レイヤー設計やマクロ構築をしっかり組み込みたいユーザーには最も合うファームウェア環境です。

スイッチ互換に関しては、購入時に選ぶPCB の種類で対応が変わります。LM-K PCB なら Kailh Choc V1 / V2、LM-G PCB なら Gateron LP KS-33 に対応します。使いたいスイッチに合わせて PCB を選ぶ必要があるため、購入前に確認が必要です。ケースはアルミで、片手あたりの寸法は 幅 146 mm・奥行 123 mm・高さ 19.6 mm(DB 登録値)です。

分割キーボードホットスワップ対応USB-CLowProfile
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番外編: VORTEX M50

VORTEX が手がける発売前のロープロ分割です。現時点では詳細仕様が確定していない部分もあるため、あくまで「注目株」としての紹介です。

キー数は 55で、Cornix LP(48)と Elytra(63)のちょうど中間に位置します。最大の特徴はトラックボールが内蔵予定という点で、これはこのジャンルではきわめて珍しい仕様です。普段からトラックボールを使っている人にとっては、キーボードと一体化することでデスク整理や操作効率が大きく変わる可能性があります。

一方で、配列については一般的な 60%・65% と比べてもかなり個性的で、慣れるまでの学習コストは覚悟が必要そうです。接続は Bluetooth、スイッチ互換は Kailh Choc v2 / Gateron LP 3.0。仕様の詳細は発売時の公式情報で確認してください。

VORTEX KEYBOARD

VORTEX M50 keyboard image
分割キーボードホットスワップ対応BluetoothLowProfile
キー数: 55
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選び方まとめ

分割ロープロはモデルによって方向性が大きく異なります。自分の用途と優先順位を整理してから選ぶと後悔が少なくなります。

  • デザインと配列の完成度を優先、テンキー拡張も視野にNocFree &。価格は高めですが、トータルの完成度は随一です。ISO/JIS 対応も大きな強みです。
  • とにかく軽く持ち運びたいElytra。ただし底打ち感については覚悟か対策が必要です。
  • 75% 分割でエンコーダーとパームレストも欲しいJiffy75。独特の配列に慣れられるかが判断基準になります。
  • 最小キー数でテンティング込み、コンパクトさ最優先Cornix LP。レイヤー運用に慣れている人向けです。
  • 有線で QMK/VIA の自由度を最大に活かしたいIris LM。無線不要・カスタム重視のユーザーに刺さる一台です。
  • トラックボールをキーボードに統合したい(発売待ち)VORTEX M50。配列の癖と引き換えに、ポインティング統合という大きなメリットを取れるかどうかが選択のポイントです。

他の候補も含めたスペック比較は、KeyLab DB の Split × Low Profile フィルタから確認できます。